前川千帆
artsちばしび
2021-9-18 16:08 JST

2021/9/20 で終わってしまいますが、「平木コレクションによる 前川千帆展」が千葉市美術館で開催されています。

川瀬巴水(1883-1957)も吉田博(1876-1950)もいいのですが、前川千帆(1888-1960)は漫画家だけあって庶民的な、すぐそこにいて触れる事が出来る作家感があります。

他の作家が自然を箱庭的にハンガの世界に落とし込むのとは対照的に千帆の表現の向こうからは人の生活音が響いてくる感じがします。山を描いてもそのすそ野の人々の暮らしが見えるようです。

そしてデザイン性。閑中閑本の表紙。単純な繰り返しパターンですが印象深い幾何学模様と色の配置です。つい、手拭いを買ってしまいました。青とか赤の方がよかったけど、黄色の手拭い。

カレンダーのような実用的な(あるいは商業的)小作品の中にこそこの独特の吐息が感じられます。書かれていない下駄の音が聞こえてきそうです。

商業と結びついた作品という意味で Mucha (1860-1939) にも通じるかな。