2020 年の千葉市美術館の新装開店(?)の時に企画されていたジャポニスム展。1年半遅れでやっと開催された。
そうか、そうか、2014 年に世田谷美術館でもそういえば「華麗なるジャポニスム展」やってたんだっけ(いかなかったけど)。モネの絵が印象的な広告だった。
でもなんかちょっと違うんだよね。
前館長も否定的な言葉として「ジャポニスム」を使っていた。写真は2020年当時の 千葉市美術館ニュース 「C'n」93号から勝手に引用。リニューアルするというのに館長はそのことにもジャポニスム展の事にも触れず動物大行進推し。
英泉の青と広重の陰影
平日なのに人が多いよ!!ジャポニスム展よっぽど人気あるんだな。今度は夜行ってみようと思う。
前半の目玉はやっぱりゴッホの絵かな。パッと引き付けられた。C'n の 94 辺りにも書いてあったので記憶にあったのかも。ちょっと見せ方が今までと変わった印象。今までは、前半に(というよりいの一番に)いい作品を惜しげもなく投入していたが今回のは後ろの方がよい。(一応、最初は北斎なのか、、、)
英泉の真っ青な版画(とその解説)がすばらしかった。そして、千葉市美術館が英泉の浮世絵をいいのを持っている事が再確認された。
国芳の骸骨。国内にいくつもあり有名な絵。「国芳画」の文字がね。落款ならまだしも、絵としてはない方がいいと思うよ。鈴木晴信は黒が強い。
全般的に保存状態がよいのか?コレクターの趣味なのか?それとも、、、赤系の色がよく残っている。そして、黒も黒い。
全般的に保存状態がよいのか?コレクターの趣味なのか?それとも、、、後半になると疲れてしまう。7階(だったと思う)に行くと今回の目玉かもしれない非常に状態の良い広重がいくつもあった。特にうしろをぼかした浮世絵は素晴らしいアイデア。あれ日本にもあるのかな?
とはいえ、浮世絵の全般的には英泉の真っ青な版画以外は写真とかでも見たことがある感じだったかな。
虎退治
わざわざ、この折り目付き虎退治を「今回」持ってきたところに気概を感じた(誰の?)。連続性という意味で、前回の展示と時間差はあるけど脳内で比較できるね。
屁理屈
ジャポニスム展の違和感は何かという屁理屈を考えてみる。たとえば幼子にベロを出す鏡の中の女性の絵。傘を差している人がいたり、閉じようとしている人がいる絵。その当時の流行りものだったり、風刺だったり、ちょっとしたウィットや生活がその中に垣間見れる。それは、現代ともごく細い糸で繋がっていて「そうそう」と納得が出来ないまでも、小さいころ見た絵やTVを思い出される。まさに浮世の絵。
浮世絵に影響された海外の絵にはそれがない。モネの絵(今回はないけど)はきらびやかで異国情緒に溢れるけど生活や遊び(ウィット)がない。まぁしょうがないよね。そこで生活してないから。
どうも、海外のコレクターははっきりとした輪郭の浮世絵よりやや雑にも見えるぼやーとした絵の方が好きなんだろうね。国内の評価基準とはちょっと違う気がする。我々は、国内の美術家の評価基準の高いものを見る機会が多いから、知らず知らずのうちに別の評価基準になっているような気がする。いい悪いではなくて。それは、ドラッカーの時も感じた。バイヤーが暗躍しているというのもあるのかもね。
海外の評価を逆輸入してでないと、自分たち国内の絵の立ち位置を確認できない展示手法はどうなんだろうね?というのが、どのジャポニスム展にも残る疑問。だって、同じ浮世絵は国内にもあるじゃん。じゃ、国外の絵と国内の絵をちゃんと科学的に調査して保存状態とかデータ集めした方がいい研究になると思うけどね(そしたら国外の美術館は貸してくれなくなるだろうけど)。
なお、浮世絵の私の好みから言うと、、、常設展の北斎が一番よかったよ。常設展も負けない!という心意気が毎回伝わってくる。
あと X 線調査はしてほしい気がする。